静岡県の保育園で
「おもちゃを通して子どもの発達を考える」
園内研修をしました。
保育室での遊びの質を高めたいけれど、どうしたらよいのか?
という課題に対して
子どもが遊びこむための5つの条件から整理していきます。
1)時間
いつ遊べるのか?
遊ぶ時間が十分に確保されているか?
そして生活リズムと日課を確立されているか?
2)空間
遊べる場所があるか?
おもちゃに定位置があるか?
作った作品が大切に飾られる場所があるか?
3)おもちゃの質
対象クラスの子ども達の能力に見合っているおもちゃか?
その子たちの能力を引き出し、伸ばせるおもちゃか?
遊びの発達と連続性が生み出せるおもちゃか?
他のクラスと標準化して客観的に評価できるおもちゃか?
4)おもちゃの量
人数に見合った適正量のおもちゃがあるか?
人数に見合った遊びのバランスがあるか?
同じ課題のおもちゃの中でも多様性が確保され、子どもが主体的に選択できる多様性があるか?
5)保育士
4つの条件に基づいてて、環境の調整し、子どもと関われるか?
時間の見通しを子どもたちに持たせているか?
部屋のどこで、どんな遊びをするべきか、子どもに理解させられるか?
楽しそうに、一つ一つのおもちゃや遊びを子どもに見せて、しどうできるか?
この5つの条件を踏まえ幼児保育のための
遊びの大分類である4つの遊びのそれぞれについて考えていきます。
その4つとは
【その1】ごっこ遊び
・お世話遊び
・役割遊び
・お店屋さんごっこ
【その2】机上遊び
・平面構成
・机上積木
・ブロック
・ドイツゲーム
・マンダラ塗絵
・パズル
【その3】床積木
・レンガ積木(3.3cmまたは4.0cm基尺)
【その4】
絵本
です。
保育環境をコーディネートするためには
はじめにおもちゃありき
=「何」
から考えては答えは出ません。
どのように選ぶか、どのように与えるか、どのように問題を解決するか
=「どのように」
をマスターしなければいけないのです。
そのためには、何故、その遊びが必要なのか
何故、その遊びをさせたいのか?
=「何故」
という土台から考え、その土台から
=「何」⇒「どのように」⇒「何故」
するのかを積み上げていきます。
たとえば
何故お店屋さんごっこが、幼児に必要なのか?
それは、働く意欲が育つからです。
まねる力、観察力が育つからです。
社会に貢献する大人を自分の目で見つけ、尊敬する心が育つからです。
人に与える喜びが育つからです。
だから、乳児期からお世話遊び、役割遊びの環境を整え
支援し、子ども同士でイメージを共有し、
お店屋さんごっこへと導くのです。
そして、それぞれの年齢で遊べる力に合わせて、ふさわしいおもちゃを用意します。
たとえば人形は、0歳児クラスから年長まで同じ人形を与えます。
そして、年度毎に一つ上のクラスに移動させます。
それは、クラスの進級と共に、人形も子どもたちに寄り添っていくためです。
愛着を育て、愛情を深めるのです。
だから、
「ウォルドルフ人形がいい」
「ソフトベビー人形がいい」となる。
理由は4つ。プラス1
長く使えること。
喜怒哀楽のあらゆる子どものシチュエーション、感情を想像できる表情。
抱いてあげて心地よい感触。
お世話するイメージをしやすい大きさ。
そして、メンテナンスできること。
大切にし続ける愛着が、愛情を深め育てるのです。
この思考が保育環境を考える上での
「何故」⇒「どのように」⇒「何」なのです。
保育環境コーディネーターのメソッドは、この思考から始まります。
ご参加いただいた保育士の皆様、ありがとうございました。
日本知育玩具協会では
保育環境コーディネーターの理論の普及と、保育士の育成に取り組んでいます。